日本人史上最年少19歳で七大陸最高峰に登頂した現役大学生、南谷真鈴。
彼女にとってそれは、人生の過程にすぎない。
BY ABBYE CHURCHILL
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山頂から見る景色。その場所よりも澄んだ景色なんてきっとないだろう。見渡す限りの青空や、眼下に広がる雲海。そんな景色を見ていると、どんな問題や悩みだってちっぽけに思えてくるし、何でもできそうな気分になる。
七大陸最高峰に登頂した南谷真鈴は、周囲があっと驚くようなことを成し遂げても至って落ち着いている。天候や気温の変化によって、登山は時に過酷なものへと急激に変化する。急勾配の斜面、断崖絶壁や険しい道。それに加え登山に必要な装備は30キロ以上になることもある。彼女が今目指すのは七大陸最高峰登頂に北極点、南極点到達を加えた、“Explorers Grand Slam”(山岳グランドスラム) 。そのゴールへ残すはあと一つ、北極点到達のみとなった。
真鈴が今熱心にチャレンジしている「山」と出会ったのは、13 歳の時。父親の仕事の都合で東京から香港に引っ越した時だ。彼女は異国の地でホームシックになっていた。そんな時、とある新聞記事を目にしたのだ。それはネパールの女の子がエベレスト登頂に成功したという記事だった。
「その記事を読んで、とにかくびっくりしたんです。私と年の変わらない女の子がエベレストを登っている一方で、私は家で中間テストの勉強をしている……。その違いに衝撃を受けたことを覚えています」と当時を振り返る。
それをきっかけに、彼女は13 歳という若さでヒマラヤ山脈の、アンナプルナ山群の山登りに参加した。
「最初の登山は、とにかく私にとってすべてが新鮮でした。香港という街はコンクリートに囲まれていて、でも街から2 時間くらい離れたところには山がありました。そこに登ると山頂からビルがたくさん見えました。学校や騒がしい街から離れて自然の中にいると、私も何か新しいことにチャレンジしたいという気持ちになったんです」
真鈴はそれ以来、次々と七大陸最高峰の登頂を成功させ、そして今、Explorers Grand Slamの達成を目指している。彼女はこれまでに七大陸最高峰の他にも世界各地の山の登頂に成功している。
“人生は、山に登っているようなもの。見える山もあれば、見えない山もある。”
南アメリカ大陸のアコンガグア(6,960m / 2015年1月)、アフリカ大陸のキリマンジャロ(5,895m /同年7月)、ヨーロッパ大陸のモンブラン(4,810m /同年8 月)、アジア大陸のマナスル(8,163m /同年10月)、オーストラリア大陸のコジオスコ(2,228m / 同年12月)、南極大陸のヴィンソン・マシフ(4,892m / 同年12月)、インドネシアのカルステンツ・ピラミッド(4,884m / 2016 年2月)、ヨーロッパ大陸のエルブルス(5,642m / 同年3月)、アジア大陸のエベレスト(8,848m / 同年5月)、そして北アメリカ大陸のデナリ(6,190m / 同年7月)。以上がここ1 年半で登った世界の山々。これが日本人史上最年少で、七大陸最高峰を登頂した真鈴の実績だ。
しかし、真鈴は記録や名誉のために山を登っているのではない。山との出会いが、それまでの狭い世界から自分を解放してくれたのだ。そして彼女は「山を登る」という自分の進む道を見つけたのだ。
「今、私はExplorers Grand Slamという夢に向かって走り続けています。そして、このチャレンジが終わったら、また新しい人生のチャレンジが待っているかと思うとワクワクします。もし、こんな私の挑戦を目にして、感動してくれる人がいたり、13歳の時の私のように自分も何かにチャレンジしようと思ってくれる人がいたなら、それはとても素敵なことですよね?」
かつて彼女が登った山の一つであるカルステンツ・ピラミッド。赤道の近くにありとても暑く、インドネシアで最も険しい山の一つと言われてい
る。一方日本では冬の雪山で250mも滑落し、雪の中で寒さに耐えながらレスキューを待ったこともある。そんな危険な場面に直面しながらも、七大陸最高峰に登頂した彼女は、私たちに気づきを与えてくれるだけでなく、それ以上の意味を与えてくれるのではないだろうか。
「人生は、山に登っているようなもの。見える山もあれば、見えない山もある。私にとって山は、人生のシンボルのようなものかもしれません。登頂したらそれまで、という単純なものでもないし、これまで登頂したその過程に意味があると思っています」
真鈴の今の目標である、Explorers Grand Slam。彼女にとってはそれも、次のチャレンジに向かう過程にすぎないのかもしれない。
“13歳の時の私のように、自分も何かにチャレンジしようと思ってくれる人がいたなら、それはとても素敵なことですよね?”
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