ストリートファッションの先駆者であり、ユニクロのTシャツブランド「UT」の
クリエイティブディレクターであるNIGO®と、世界に名を馳せるアーティスト、KAWS。
友人でもある2人が2016年、「UT」でタッグを組んだ。
ブルックリンのKAWSのスタジオにて。2人のトークは尽きることがない。
クリエイティブディレクターであるNIGO®と、世界に名を馳せるアーティスト、KAWS。
友人でもある2人が2016年、「UT」でタッグを組んだ。
ブルックリンのKAWSのスタジオにて。2人のトークは尽きることがない。
- NIGOとKAWSの出会いは1997年。KAWSが初めて東京を訪れた時だった。
- (KAWS)「90年代のストリートファッションは、スケーターの間で生まれていたよね。その中でも、NIGOが立ち上げたファッションは特別だった。彼が表現する独特な世界観に、僕はすっかり魅了されてしまったんだ」
- (NIGO)「KAWSは、街のバス停や電話ボックスをすべてアートに変えていったんだ。グラフィティアーティストは他にも知っていたけれど、彼はレベルが違ったね」
- ファッションとアート。お互いの中にあったルールが壊された瞬間であり、共鳴した瞬間だった。この出会いこそが、2人のパートナーシップの始まりだった。
- 2001年、東京で開催されたKAWSの展覧会以来、2人はさまざまなコラボレーションを行ってきた。その最新となるプロジェクトが、今回の「UT」だ。NIGOは、2014 年に「UT」のクリエイティブディレクターに就任。以来、毎シーズン、独自のフィルターを通して、マンガや音楽、有名なアニメのキャラクターなどをモチーフにしたグラフィックTシャツを提案し続けている。それは、KAWSが扱ってきたテーマとも共通するものがある。
- (NIGO)「 2016年は、何かもっと大きなインパクトを与えるようなことがしたかった。それですぐにKAWS がぴったりだと思ったんだ。実際彼が“YES”と言ってくれるかは、わからなかったけれど」
- KAWSはこのオファーを受けてまず最初に、ユニクロが身近なブランドであること、そして友人であるNIGOとのコラボレーションであるということに、魅力を感じた。
- (KAWS)「僕がこれまで手がけてきたものは、限定品など、エクスクルーシブなものが多かった。だからこそ、今回のT シャツのように、誰にでも手に入りやすいもので、自分のアートを表現してみたいと思ったんだ。このプロジェクトに関わる人たちのビジョンや熱意を何より信頼しているし、僕自身とても楽しんでいるよ」
- この日の撮影は、
ニューヨーク・ブルックリンにあるKAWS の
スタジオにて。現在KAWS は、
次の展覧会のための制作に取りかかっている。 - NIGO:
- KAWSグラフィックT ¥1,500
- ※4月下旬販売予定
- KAWS:
- ドライカラークルーネックT ¥590
- 互いをリスペクトし合い90 年代のストリートカルチャーの中心にいた2人だが、それぞれアプローチが異なることもある。例えば、音楽へのこだわりについてもそう。
- 「50 年代の音楽を聴く時は、その時代に作られたプレーヤーで聴くことにしている。マスタリングがその頃に音楽を聴くための機材に合わせてあるから、一番良い状態で聴くことができるんだ」と言うほど、NIGOの音楽に対するこだわり、造詣は深い。一方KAWSはというと、音楽は好きだけれど特にこだわりはなく、ファッションに関しても「毎日同じ服を着ていてもいい」と言う。
- (KAWS)「90年代のストリートファッションは、スケーターの間で生まれていたよね。その中でも、NIGOが立ち上げたファッションは特別だった。彼が表現する独特な世界観に、僕はすっかり魅了されてしまったんだ」
- そんな2 人も、常に時代背景やその背後にあるストーリーを洞察し、カルチャーを捉えるという視点は共通している。
- (NIGO)「僕は、ファッションと音楽が融合する時にカルチャーが生まれると思っているんだ。いつの時代にも代表的な音楽がある。例えば、50 年代はロカビリー、60 年代にはモッズ、70年代にはパンク……といったようにね。そこにはいつもファッションが並行して存在していて、その2 つが結びつき、カルチャーとして根付いていくのだと思う」
- KAWS にとってカルチャーとは、「いつの時代も、人と経験と時間の蓄積」だと言う。それはアートと向き合う時にも感じること。
- (KAWS)「僕はアートを観る時、作品の背後にあるストーリーを考えるんだ。イメージの原点や、現代まで受け継がれてきた経緯、そしてどのような変化を遂げて、今再び世に送り出されているのか」
“ 僕はアートを観る時、作品の背後にあるストーリーを考えるんだ。イメージの原点や、現代まで受け継がれてきた経緯、そしてどのような変化を遂げて、今再び世に送り出されているのか” ― KAWS
ニューヨークのストリートに突如現れ、ビルボードやバス停に落書きをするグラフィティアートからアーティストとしてのキャリアをスタートしたKAWS。彼の常識に因われないアプローチは、みるみるうちに話題を呼び、今日では一流のアーティストとして、世界有数のギャラリーや美術館、コレクターたちに賞賛されている。
ストリートファッションの火付け役として、ファッション業界に大きな影響力をもたらしてきたNIGO。現在、自身が立ち上げたレーベルは、多くの著名人にも愛用されている他、音楽とファッション、双方をつなぐかけ橋にもなっている。
2014年、ユニクロのT シャツブランド「UT」のクリエイティブディレクターに就任。
2014年、ユニクロのT シャツブランド「UT」のクリエイティブディレクターに就任。