人の人生のように、服にも辿るべき道があります。
あなたから服が手放された時、それが服の最後ではないのです。
服は国境を越え、それを必要とする多くの人の手元に届けられます。
すべてを捨て、着の身着のまま故郷を離れなければならない。住み慣れた家を失い、家族を失い、この先のことはもちろん生きることにすら希望を持てない……。そんな状況を想像できるでしょうか。しかし、そのような過酷な状況を強いられている人たちがいます。現在全世界で6000 万人※を超える、難民や避難民の存在。彼らは内戦や迫害、災害などから逃れるため、母国を離れざるを得なかった人々。安全な暮らしを取り戻したいと願っていながらも、生命と尊厳を脅かされながら、生きているのです。難民や避難民に最も必要なのは、清潔な水や医療、食料そして教育など。生きていくために必要なものが、彼らにはなにもないのです。
2006 年、ユニクロはUNHCR(国連難民高等弁務官事務所) や各地のNGO と協力し、服の会社だからできることを考え、「全商品リサイクル活動」をスタートしました。2011 年には、より包括的に世界の難民・避難民問題の解決に寄与するため、ユニクロはアジアの企業として初めてUNHCR とグローバルパートナーシップを締結しました。
UNHCR は、スイスのジュネーブに本部を置き、国連総会によって設立され、世界の難民の保護と支援を行う国連の機関で1951 年に活動を開始しました。2015 年8 月までに、ユニクロは1632 万着もの服を、ジョージア、シリア、ルワンダ、エチオピア、ネパール、ミャンマーなど59 の国や地域に届けました。また、衣料支援に加え、緊急支援や自立支援などにも取り組んでいます。
こうしたユニクロの支援活動は、「あなたとともにできること」を考えて、始まりました。世界中のユニクロやジーユーの店舗では、ユニクロ・ジーユーで販売したすべての商品を対象に、不要になった服の回収を呼びかけています。回収した服のうち、もう着られない服は燃料としてリサイクル。まだ着られる服は、性別、サイズ、シーズンなど18 のカテゴリーに分けられます。寄贈先の気候に加え、文化や宗教にも配慮しながら、服を届けています。
“ UNHCRとユニクロの長期に渡るパートナーシップは、難民の生活を再建し未来への期待をつなげるために独創的な手法を生み出しています。”
–フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官
ユニクロは、難民・避難民問題を世界で最も深刻な問題だと考えています。子どもたちをはじめ、多くの人々の生存権が脅かされていることが一番の問題であり、これにどう向き合うべきかが私たちに問われています。
食料や水と同じように、服も人間にとって、最低限の尊厳を守り、生きていくために必要不可欠なもの。服は、難民・避難民が、新たな生活の第一歩を踏み出す大事な手助けになるはずです。それらがあってはじめて、教育やコミュニティ形成、自立支援プログラムなど、更なる次の目標へと目を向けることができるのです。
そうして彼らは、自分らしく生きていくために必要な、自信やプライド、尊厳を取り戻すのだと信じています。ユニクロはUNHCRとの支援活動により、一人でも多くの難民・避難民に必要な服と生きる希望を届け続けたいと考えています。
ユニクロが考える「LifeWear」は、あなたの日常生活を良くするだけでなく、あなた以外の周りの人たちの日常生活も良くしていくと信じています。これがユニクロの服が持つ力。あなたが普段何を選び、そして何を着るかという選択は、あなた以外の周りにも大きな影響を及ぼすのです。現代の社会は、グローバル化が加速し、国境を越え世界はつながっています。私たち一人ひとりが行動することで、不要になった服が地球上の誰かの命を助けたり、安全な暮らしを取り戻す手助けになったりしているかもしれません。服は、あなたの手元を離れ、そして新たな場所で、新たな道を歩みだします。自分は何を信じ、どんな人間であるかを服が表現するとしたら、あなたは今日どんな一枚を着ますか?
ブランドブック「The LifeWear Book」の2016年秋冬版が完成。
WEBで全ストーリーがご覧いただけます。是非店頭でも手にとってご覧ください。